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自分に優しい時間の使い方

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効率化

「今日も1日が終わったー」と振り返って見ると
あんなに忙しかったのに「はて!?何も予定していたタスクが終わってない…」ということはないでしょうか?

かくいう私もそんな一人です。「気合が足りないのだ!」「集中力がないのだ!」など言って、謎の努力に走るのはやめましょう。そこには当たり前の理由があります。

この問題に対してプロジェクト管理の権威トム・デマルコ著『ピープルウェア』(日経BP)および『ゆとりの法則』(日経BP)に書かれている内容を参考に考えていきたいと思います。

フロー時間の確保

「ついちょっと前、仕事にとりかかったと思っていたけど、時計を見るともう3時間もたっている!」という経験はありませんか。そのように、本当に集中して作業ができている状態をトム・デマルコは著書『ピープルウェア』の中で「フロー状態(瞑想状態のようなもの)」と呼んでいます。

このフロー状態を保つことは、騒々しい環境ではなかなか困難だと思います。一度フロー状態になっても、邪魔されて元の状態に戻ると、再びフロー状態に入るのに時間がかかります。その間、実質的な仕事はできていない状態が続くと思います。
電話の応対に平均5分以上かかり、また仕事に集中するのに15分必要とすると、1回の電話につき、フロー状態にある貴重な仕事時間が20分無駄になります。一日に十数回も電話がかかってくると、それだけで半日、一日と時間が過ぎてしまいます。
これが頑張ったわりに仕事が進まない要因だと『ピープルウェア』では書かれています。

6分仕事をしては中断するということを10回繰り返していたら、計算上は60分仕事していても、実際には何もできていないということになります。

4時間机に向かって仕事をしていても、20分おきに割り込みが入っていたら、割り込み無しの時間は0になります。

「みんなが出勤する前の朝早くの方が仕事が進む」とか「業後になってようやく仕事に集中できる」とかいう…よくある話しも当たり前の話しであることに気づかされます。

仕事の質を高めるには、いかにこのフロー状態を確保するかが必要があり、
その環境係数を『ピープルウェア』ではE係数としています。

例えば、まともなオフィス環境で仕事をしているエンジニアのE係数が0.38で、ひどい環境で仕事をしているエンジニアのE係数が0.10だとすると0.10のE係数で仕事をしているエンジニアは0.38のE係数で仕事をしているエンジニアの3.8倍も長い時間机に向かってやっと同じ作業量をこなせることになります。

自分が集中できる環境を整えることがいかに大切か思い知らされます。

時間外労働で仕事を挽回できるのか

さらに悲惨な現実があります。

上述で0.10のE係数社員も時間さえかければ、0.38のエンジニアと作業量をこなせると書きましたが、E係数が少ないエンジニアは、時間をかければいいという話しではありません。
というのも、一般の会社では、1日の労働時間は8時間だと思います。
非効率な時間を残業して取り戻そう!とすると、そのまま仕事の質の低下に結びつきます。

その理由についてトム・デマルコ著『ゆとりの法則』の中で「生産性測定の思考実験」を紹介してます。

労働者が遂行した作業を測定してTUMD(総有用精神識別度)という単位で表せる単位があると仮定すると、ある社員は1日8時間で800TUMDを生産することとします。したがって、生産性は1時間当たり100TUMDということになります。

次に、その社員が2時間の残業をしたとします。残業中TUMDはぐんと落ち込みます。社員は疲れて集中力が低下しているため、9時間目には70TUMD、10時間目には30TUMDを達成するのがやっと…ということになります。
結果その日、10時間で合計900TUMDを達成したことになります。

ただし、この日の本当の生産性は1時間当たり90TUMD(900TUMD/10時間)と落ちることになります。

さらに長期間にわたって長時間の時間外労働を続けると生産性は落ちるだけではなく、疲労の蓄積とモチベーションの低下によって、1日の肝心な時間でも仕事ができなくなっていきます。結果、疲弊したわりに8時間で達成する仕事量より少なくなりかねないと思います。

1日の作業の中では、もちろん重要な打ち合わせや共同作業もあると思いますが、ディレクター、デザイナー、エンジニアにかかわらず、自分一人で集中しなくては作業が進まないものがあると思います。その時間を確保することが、結局は効率的な時間の使い方でもあり、自分自信もすり減らさない働き方だとしみじみ感じる今日この頃でした。

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