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公開日:2016.12.12

更新日:

札幌のお洒落なコーヒースタンド「COJICA COFFEE」から見えた新しいライフスタイル

コーヒー需要の高まり、コーヒーそのものを楽しむ文化の浸透なんて巷では言われ、最近ではオフィスとカフェが併設されたお洒落な事務所が札幌でも増えてきた印象の今日このごろ。今回は、そんな素敵空間で働く方々にフューチャーして取材してみる企画になります!

 

記念すべき第一回は、カフェ本など雑誌でも多々取り上げられている「COJICA COFFEE」のバリスタである佐々木恒平(ささき こうへい)さんにお話を伺いましたよ!2014年に移転オープンしたアートギャラリー「salon cojica」に併設されたコーヒースタンド「COJICA COFFEE」。記事後半は作曲家としての顔を持つ佐々木さんにクリエイターとして、作曲の取り組み方や新しいワークスタイルについて話してもらいました!

 

COJICA COFFEE(コジカコーヒー)が出来たきっかけ

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左から、作曲家兼バリスタの佐々木さん、ライターのマスコ。

 

ーー早速COJICA COFFEEのことについて教えてください!以前は中心部にありましたよね?そこで初めて(こーへいさんと)出会いました。

 

元々salon cojicaというギャラリー内にカフェをやろうって話があって、大雅(たいが)くんがカフェをやってくれる人を探してたときに、やります!って立候補し、お願いしますってなったのが始まり。そこから2年、未経験から始まって…それまで珈琲が好きっていうだけで(笑)それで2年間やって限界を感じてしまって。基本を学ぼうと、きちんとバリスタをやろうと思って、札幌のロースターに入ってバリスタの勉強をして、その後、COJICA COFFEEを立ち上げたんだよね。

※川上 大雅(かわかみ たいが)…札幌北商標法律事務所の弁護士兼saloncojicaギャラリーオーナー。

 

ーーロースター時代のコーヘイさんにもお会いしてましたけど、そういう想いでバリスタをやっていたんですね。

 

やっぱ中途半端なのは好きじゃないので、オタク気質だからね(笑)

 

ーー極めたいんですね(笑)それで立ち上げてからは、スペシャルティコーヒーを提供するようになったりしたんですね。その前はどういうものを目指していましたか?

 

その前のは喫茶店っぽい雰囲気とかも目指していたんだけど、やっていくうちに気軽に上質なものを楽しんでほしくなったんだよね。コーヒースタンドという形で。

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カウンターには自家製スイーツやコーヒー豆が並ぶ。テイクアウトも出来るのが嬉しい。

 

ーー「コーヒースタンド」最近流行ってますよね。

 

「コーヒースタンド」という言葉がない時から、元々こういう限られたスペースでやってた形式をニューヨークでは「スモールカフェ」って呼んでて、そういうものがやりたかったんだよね。せっかく今新しくやろうと思ったからスタンド形式で始めたんだ。店内を自由に過ごしてほしくて。始めた時は札幌にコーヒースタンド形式のお店は6店くらいしか無かったよ。

 

ーー日常的にコーヒーをちょっと楽しむカフェなのかなって思います。来るたびに違うメニューになってて新しい発見があって。

 

ありがとうございます!(笑)

 

ーー(笑)salon cojicaや、COJICA COFFEEの入っているconecoビルディングは皆さんで「こういうのやろうぜ!」って考えられたんですか?

 

こういうのやろうぜ!っていうのは全部大雅くんの構想から。設計の段階でカフェスペースとか考えるじゃない?大雅くんから一緒にやってくれませんか?って誘われて、勿論!って(笑)だからカフェありきだし、ギャラリーありきだし、法律事務所ありきの建物だね。

 

ーーそれが面白いですよね。カフェとギャラリーと法律事務所がワンフロアにあるという。

 

中々ないよね(笑)

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法律事務所とアートギャラリーとバリスタの居るコーヒースタンドがワンフロアに。

 

ーーギャラリーを見に来るお客さんもいますよね、気軽に寄ってコーヒーも飲まれたり出来ますよね。

 

勿論。札幌市内では、おそらくバリスタが居るギャラリーってここだけじゃないかな。カフェがついている所は結構あるけど。

 

ーーたしかに珍しいですよね。美味しいコーヒーを飲みながらギャラリー見れるって良いですね。

 

札幌も気軽にコーヒーを楽しむ文化になってきてるんじゃないかなと思う。

 

ーーギャラリーでは企画展が中心ですか?

 

うん、大体企画展で、会期が1ヶ月くらいだけど、絶対に1ヶ月毎に入れ替わるスタイルでもなくて、不定期でもしっかりと毎回しっかりとギャラリストの方で企画してるね。

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不定期に入れ替わるギャラリー。コーヒーの香りに包まれながら現代芸術を鑑賞できる。

 

ーーなるほど。そういえば、スペシャルティコーヒーを色々と出していますよね。

 

スペシャルティコーヒーって基本的に旬のものなんだよね。ワインと一緒で、○○農園の○○さんが栽培して○○さんが収穫して○○さんが焙煎して、そこまでを遡れるのがスペシャルティコーヒーで、全需要の5%くらいなんだけど。で、例えば同じ国でも農園が違うだけで味が変わるから、そういうのを楽しんでもらったりとか。だから一回仕入れたものはそれっきり。

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流れる手つきでコーヒーを淹れてくれる佐々木さん

 

ーーでは今日飲んだレッドハニーとかも次来たら無い?

 

無い無い。ただ同じレッドハニーで違う国とか、違う農園とか。「そういえばこないだはコスタリカのレッドハニーだったなー」とか、同じハニープロセスのコーヒーでも今度来たら「エチオピアのレッドハニー」とか「ブラックハニーがある」とか。いろんな楽しみ方があるよ。

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不定期で入れ替わるスペシャルティコーヒーの他、実際に抹茶を立てる抹茶ラテや自家製スイーツなど、こだわりのメニュー。

 

ーーコーヒーそのものを楽しむスタイルですよね。以前まではコーヒーそのものというよりは(勿論それもありますけど)、空気とか雰囲気とかを求めていたりだったような気がします。

 

このスタイルをずっと続けるかって言われるとそうではなくて、その時その需要があるから、それに合わせてフレキシブルにいけたらなと。それは作曲でも一緒だけど。例えば今EDMが流行ってるじゃない、でも急に80’sの曲が流行りだすかもしれない。そうなると耳に馴染むのは80’sの曲だから。僕は別に(ジャンルに)こだわりはなくて、クリエイターとしてなんでも書くから。

 

「作曲家」兼「バリスタ」というワークスタイル

 

ーー丁度作曲の話にもなりましたので、これからは作曲家としてのコーヘイさんにも聞いていきたいと思います。広告音楽を仕事に作曲家をされていて、色々なスタイルの音楽を書くじゃないですか。ロックから、弦楽器を使ったポップで可愛い音楽まで幅が広い。曲を作る上で想いとかやり方とかはありますか?

 

まずクリエイターとしてクライアントの意向には沿うように作るんだけど、そこの中で僕なりの個性を出すようにしていて。個性が無ければ制作会社に頼めばいいし、僕に頼むってことは僕の個性を求めているんだって。今はループ素材を適当に組み合わせても曲が作れる時代だけど、その個性が今後、需要があるんじゃないかって気がしている。

 

ーーそれは例えば耳に残る音楽以外でも?

 

そうそう、だから邪魔しない耳に残らない曲も書ける。展覧会のBGMとか、そういうときは存在感無くてもいいと思ってるから、日常的に人々が聴いている音楽とか何だろうと考えて作ったり。でも逆にテレビCMとかだと、ゴリッとしたインパクトのあるアレンジで音圧も高めで、そういう風に使い分けてるよ。

 

ーー使い分けできるというのは凄いなと思います。クリエイターとしては当然なのかもしれないけど、楽曲を聞いているとそこにきちんとコーヘイさんの個性を残しているから。

 

この褒め上手(笑)あのね、努力したんです。ギタリストとして10代からやってるけど、ずっと一人でやる限界があるから、一から作曲・編曲の勉強をしたんだよね。それまでも曲は書いていたけど、理論は知らなかったから。それで仕事のないときでも毎日1曲は必ず書くようにしようって決めたんだ。だから当時1年間で400曲くらい書いていた。ちなみに今はそれ以上に書いているんだけど。

 

ーー1年に400曲って1日に2〜3曲とか…

 

そう、どんな曲でもいいの。それはやり続けるってことが大切。ギターの練習と一緒で絶対基礎練習だけはやり続ける、トレーニングなんだよね。

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ーー頭では大事だと思っていても中々続けることは難しいと思います。それで色々な曲を書けるようになったんですね。

 

そうそう、努力の結晶だと思う。曲を書く才能ではなく、努力をする才能はあると自負しております。

 

ーー作曲家としてのこだわりは、バリスタにも活きてきますか?

 

バリスタ、カフェの店員、作曲家って華やかに見えるじゃない。でも地味な作業がほとんど。それを「なんでこんなことしてるんだろうなー」って思わないでやること。例えば、曲を作っていると一人で引きこもって仕事しがちで、打ち合わせやレコーディング、エンジニアリングくらいでしか人と会わないんだけど。やっぱりカフェをやっていると、人と会うんだよね。しかも笑顔で会話をしたりするから、使ってる頭も違う、インプットも増えていく。

 

ーー作曲がアウトプットだとしたら、バリスタはインプットかもしれませんね。

 

そうかもしれないね。作曲家として忙しいときは自分の中の引き出しをいくら空けても足りないけどね(笑)

 

ーー作曲家とバリスタというユニークなスタイルは、コーヘイさんにしか出せない魅力だと思います。

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札幌〜東京の距離を感じないチーム

 

ーーそういえば出光のヒストリームービーが公開されましたよね!(突然)

 

ね、今回たまたまね、増子さんとご一緒させて貰ったんですけど(笑)

 

ーー初めて一緒にお仕事できて本当に嬉しかったですね。今回もコマ撮り作家のワタナベサオリ監督からオファー頂いたんですけど、東京で活躍しているにも関わらず札幌にいる僕に効果音を、コーヘイさんに音楽を頼んでくれて、そしてエンジニアリングと効果音に染谷さん(あの染谷さん!)がいて。札幌〜東京の距離を感じさせない、凄い現場になるなって思いました。

※以前AGFティーハートキレイブレンドのWEB CMでも一緒にお仕事させて頂いた経緯。効果音,エンジニアリングで参加。

 

ねー楽しかったね。いちいちやり取りが楽しいんだよね。

 

ーーずっと話し込んでましたもんね(笑)

 

邪魔なんじゃないかっていうくらい話してたね(笑)良いチームだった。

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右から音響監督の染谷さん(beBLUE)、アニメーターの稲積さん、監督のワタナベサオリさん(SaoriWatanabe)、作曲家の佐々木さん(5)、サウンドデザイナーのマスコ。

 

ーー皆が良いと思える案を出し合って進んでいく、チームで同じものを作り上げているって感覚がありました。反響はありました?

 

うん、広告を作っている会社とかからも反響あったよ。こういう楽曲も作るんですねって。楽曲に関しては完全に僕色だったので(笑)

 

ーー今回目まぐるしくシーンが変わる、表情が変わっていく映像に合わせた音楽って作品の魅力につながっていると思います。

 

ありがとうございます。ちなみにこの楽曲にはこだわりがあって。実は全部キーが一緒なんです。ワンノートで作っているからこそ、色々な展開があっても違和感なく最後まで聴いていられる。最初のピアノと後半のピアノのフレーズは全部一緒なんだよね。ポップミュージックと一緒で、イントロ・Aメロ・Bメロ・サビ・ブリッジ・Aメロ・サビ・大サビ・アウトロってくるでしょ。そのアウトロでサビのフレーズを繰り返したり、イントロのフレーズを入れる手法を使ってるの。そんな風に、出光の歴史には一筋の光が通っている事をフレーズを繰り返す事で表現したんだよね。

出光興産の歴史をペーパークラフトで表現したコマ撮り作品。メイキングはこちらから。

ーーそうだったんですね。映像と音楽がとてもマッチして、切っても切れない存在だと思います。

 

いや、効果音の効果もあるんじゃないですか(笑)

 

ーー僕もちょっと良いですか(笑)今回、全部紙で作られているじゃないですか。紙ならではの実際にはない音を作りたくて。例えば、トントンって「紙の建物が立っていく」シーンとか、現実にはそんな音しないんですけど、紙の世界ではマッチする音作りをしたくて。そういう紙の世界観を表現したくて。リアルな音とか重厚な音は染谷さんがいらっしゃるので、僕がやれることはなんだろうって考えて、紙の世界観を少しでも彩れたらと思いました。それが(違和感なく)普通に馴染んで皆さんに聞いて貰えたら嬉しいですね。

 

良いね!今回の作品は、最初から最後までアナログ感に凄いこだわってたよね。勿論デジタル処理はしてるんだけど、結局アプローチや考え方はアナログ。そういうのって中々出来ないから。またチームで動きたいね。

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ーー今後の展望はありますか?

 

プライベートだと、空港が凄い好きで。今まで作った曲にも、空港の音をサンプリングして使ったりしているんだけど、非日常的な音をフューチャーしてやっていきたい。仕事であれば、広告音楽に特化したものをやっていきたいし、そんな映像に合わせた音を作りたいかな。あとはプロジェクト単位で集まって動けるチームというか、作曲にしても複数人で作れるシステムとかやっていければと思ってます。

 

ーー面白そうな取り組みですね、期待が膨らみます!コーヘイさん、本日はありがとうございましたー!

 

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最後に二人で記念撮影!

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COJICA COFFEE

〒001-0023 北海道札幌市北区北23条西8丁目 coneco bld. 1F
tel / 011-700-0702

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