PAGE TOP

公開日:

ロゴは高いが役に立つ!

デザイナーにとって “ロゴ” は馴染みの深いものであり、奥の深いデザイン物のひとつではありますが、多くの方にとってロゴは

「ロゴって何なの?」

「ロゴって必要なの?自分で作ればいいじゃない」

「ロゴって高すぎない?」

なんて思っている方も多いかと思います。

そこで今回はデザイナーの視点からロゴの重要性を紐解いてみたいと思います。

 

 

ロゴを妥協すると、すべての妥協へ繋がる

まず、僕が言いたいことは、ロゴだけはケチらない方が良いということ。ロゴは名刺にも制服にも広告物にもホームページにも看板にも何にでも付きまとう企業やブランドの象徴です。ここを妥協すると、その後のすべてのデザイン物のクオリティーがガクッと下がる可能性も。裏を返せば、良いロゴさえあれば、多くのデザイン物のクオリティーの底上げができるとも言えます。請求書や封筒ひとつとっても、いいロゴが入っていることで相手に「良い会社だな」「センスのいい会社だな」と思ってもらうこともできます。

 

あなたのお抱えデザイナーを探そう!

だから、monomodeにロゴを発注してね!ということではなく、

ロゴに関しては色々なデザイナーや制作会社を調べて、しっかりと任せられる企業に合ったお気に入りのデザイナーを見つけるべきだと思います。

そして、大体はそのままロゴを作った会社やデザイナーがあなたのお抱えデザイナーとなるはず。なので、安易に依頼してしまうと今後、デザインが必要となった際にも大きく影響してきます。

 

デザイナーを途中で替えることは意外と大変

デザイナーを替えることは美容師を替えるように簡単なことのように思われますが、これも意外に面倒だったりします。WEBまで頼んでいると、もっと面倒だったりすることも。なかには、知り合いのデザイナーに頼む方や、知人がデザインソフトを使える、という理由で、安易にデザイナーを選択してしまうことがありますが、ロゴだけは一度しっかりと考えてみることをオススメします。チラシやホームページならまだ取り返しが効きますが、ロゴを変更することは時が経てば経つほど重労働となり、事業全体に与える影響も大きくなっていきます。ですので、もし僕がお店をはじめるなら、ちょっと金銭的な無理をしてでもロゴだけは納得いくものを手に入れることも十分ありえます。

 

 

ロゴって結局何なんだ?

ロゴは一言で言えば、会社やお店や商品等を象徴する符号です。

ロゴの役割としては

・他との差別化

・イメージの向上

・理念や思想の反映

・表現の方向性を統一する

などがあります。

 

同業他社との差別化を見てみよう

会社やお店、商品などで重要となってくるのは競合との差別化。差別化において最も有用な方法のひとつとしてロゴが挙げられます。インパクトのあるロゴを使用すれば、競合に比べて目につく機会の増加に期待ができますし、誠実感のあるロゴを使用すれば、安心感を与えることができます。同じような業種でもロゴが違えば印象が違います。

 

牛丼業界を例に分析

 

 

上記のように、吉野家・すき家・松屋と誰もが知る牛丼チェーンですが、それぞれロゴが違います。

 

もちろん各店、ロゴ以外に商品やサービス面での差別化がありますが、一般的なイメージは

・吉野家・・・牛丼チェーンの先駆けで、牛丼の美味しいお店で、一人客が多い (労働者や高齢層が多めな印象)

・すき家・・・テーブル席があり、牛丼のバリエーションも豊富なため、家族連れや友達連れも気軽に入れる (家族や学生などの若年層が多めな印象)

・松屋・・・定食が豊富なので、牛丼だけでなく定食目当ての客も多い (中年層や独身・一人暮らし層が多めな印象)

 

では、それぞれがどこに重きを置いて広告戦略を行っているかを見て行きましょう

・吉野家・・・味へのこだわりや職人感・歴史を感じさせるPR

・すき家・・・バナナマン設楽のCMなど、家族層に向けてPR

・松屋・・・食材の安全性や、気軽に入れる国民の食堂感をPR

大体このような戦略ではないかと思います。

 

ぱっと見、同じようなお店ながらもよく考えてみると、イメージが全然違います。

それではそのイメージにロゴがどのように貢献しているのか考えてみましょう。

 

 

吉野家 ロゴ

 

 

日本語は相撲体に近いフォント、英語は特殊なフォントで、オレンジ・黒・白を使用。

吉野家はすき家や松屋が台頭する前から、牛丼屋さんとして広く認知されており、マクドナルドなどと同じくファーストフード店の先駆者のひとつでしょう。なので、すき家や松屋にはない圧倒的なブランド力が元々あったため、そのブランドを活かしたPRを続けているように思えます。逆に、すき家や松屋は吉野家に対抗するために「家族層狙い」や「安心食材」などの差別化を図っているとも言えます。吉野家に新商品や定食が少ない理由は、なくとも競合に勝てるからなのかもしれません。

 

吉野家のロゴに使用されている相撲体は、相撲というくらいですから古くからの和を感じさせる書体で、厳格さが感じられます。打って変わってローマ字表記部分はくだけた特殊なフォントを使用しています。恐らく、「吉野家」でこだわりや歴史感を。「YOSHINOYA」で親しみやすさや気軽さを訴求しているのかと思われます。色に関しては、オレンジは特に食べ物を美味しく見せる色として知られ、牛丼の写真と組み合わせても自然となじむ色でもあります。また、オレンジと黒は目をひきやすい色合いのため、運転中のドライバーに対してのアピールにも強い組み合わせですね。

 

ロゴ制作当時に競合が少かったことがうかがえる、非常にシンプルで力強いロゴとなっています。

 

すき家 ロゴ

 

 

手書き風の文字で、赤・黄色・白を使用

すき家は家族層をメインターゲットに宣伝活動を行っているようです。恐らくこれは、吉野家のような一人客は強くPRせずとも獲得が容易なため、4名前後の家族層を狙うことで、1組あたりの単価感を向上させ、今までは獲得できなかった顧客層を取り込む目的からかと思われます。

 

「すき家」の手書き風の丸みのある文字は親しみを感じさせ、子どもにも受け入れやすいフォントです。ロゴ以外の文字も角丸ゴシックをメインに使用しており、こちらも子どもが好む傾向のあるフォントとなっています。赤も黄色は、「危険や警告」を表す色でもありますが、「めでたさ」や「元気」や「明るさ」を表現する組み合わせでもあります。この配色はアンパンマンに非常に近い組み合わせでもあり、子どもに受け入れられている実績としても充分です。かつ、赤・黄色ともに食べ物を美味しく感じさせる色合いでもあります。

 

このことから、すき家はPR戦略にあったロゴを使用しており、イメージにも沿ったものであると判断できます。

 

 

松屋 ロゴ

 

 

オリジナルフォントで、黄色・オレンジ・青を使用

松屋に行くと、店内には国産米使用など、食材の安全性をアピールするポスターなどが貼ってあります。メニューは牛丼ではなく定食がメインに打ち出されており、他の2店舗と比べると牛丼屋のイメージは強くありません。考え方を替えると、牛丼のある定食屋のようにも思えます。これは、吉野家やすき家に対抗するための差別化の結果であると思われます。

 

松屋の文字に使用されているのは青ですが、飲食店で青を使用するのは非常に珍しいです。青を使っている飲食店ロゴを思い浮かべてください。

海鮮メインのお店か、ドリンクメイン以外のお店が思い浮かんだ方は少ないかと思います。何故かというと、青はごはんを美味しくなく見せる色だからです。

 

それでは何故、松屋は青をロゴに使用しているのか。青は「誠実さ」や「信頼感」を表します。松屋は「食の安全性」をアピールしているので、青の持つイメージとは相性が良いです。それだけ差別化や独自性に重きを置いたブランド戦略なのだろうと思われます。

 

差別化の重要性

このように、差別化とロゴには大きな関係性があります。

競合が多すぎてなかなか事業が上手く行かないという経営者の方は、ロゴの一新もひとつの方法として考えてみてもいいかもしれません。

ただ、ロゴの変更はかなり大変かつデメリットも多いため、やはりスタートアップの際にしっかりとしたものを作りましょう。

 

ロゴでイメージ向上

ロゴには企業やお店、商品などのイメージを向上させる効果があります。

ロゴの成功例としてよく挙げられるのが、ナイキやコカコーラやappleなどです。

appleのブランド価値は20兆円超とも言われ、ロゴもこの価値に一役買っているのは明白です。

 

 

ロゴが違ったらどうなる?

もし、appleのロゴがダサかったら、あなたはiPhoneを欲しいと思うでしょうか?

下記にイメージ図を作ってみましたので、見てみましょう。

 

 

 

それでは次にナイキのロゴだったら

 

 

 

コカコーラだったら

 

 

 

かなり極論な例ではありますが、ロゴひとつでここまで差がでてしまいます。裏を返せば、ロゴひとつでクオリティーがグッと上昇するということでもあります。ナイキなどのファッションブランドは、ワンポイントでロゴマークがはいっていることが多いため、製品力において、特に大きく関係してきます。

 

このことからもブランド力は価値となり、売り上げにも直結することが分かるかと思います。これは、ラーメン屋ひとつとっても言えることで、同じ立地・商品であってもロゴ(看板)ひとつで客足を変えることができるということです。

 

 

いいロゴづくりのために

自分で作るか、知り合いのパソコンが得意な人にご飯をご馳走して作ってもらったロゴを作ってもらうか、きちんとした制作会社に数万円〜数十万円で発注するか、僕は客商売であるならば、ロゴにはしっかりお金をかけるべきと考えます。monomodeでは10万円前後での受注が多いのですが、業界全体から見るとこれでも安い部類にはいるようです。中には数千万円〜数億円などのものもあるそうですが、平均は大体5万円〜30万円程度なのかなと思います。

 

大事なのは金額よりもデザイナー選びです。

ネットや本などで調べ、気になった会社やデザイナーを複数チョイスして連絡をとり、制作事例を見せてもらいましょう。大抵は公開できる制作事例は一部で、表には出していない事例が多数あるので、選別の資料が増えるはずです。値段と合わせて、1案だけなのか、3案から選べるのか、などの詳細も聞いておきましょう。やはり、複数案から選ぶ方がより想い描いたロゴになりやすいはずです。

 

理念や思想の反映

大抵のロゴは「コンセプト」というものを持ち合わせています。

それは、企業やお店や商品へ込めた想いです。

 

amazonのロゴに込められたコンセプト

 

 

amazonのロゴは非常に秀逸です。

笑顔を連想させる矢印が「a」と「z」、つまりA〜Zを繋いでおり、様々な商品を取り扱うということを表現しています。

 

 

色は想いを反映する重要な要素

色はそれだけで非常に大きな意味を持つことになります。保険業界のロゴと聞いて、何色を思い浮かべるでしょうか?多くの人は青、次いで緑を連想するかと思います。保険業界最大手の東京海上ホールディングスは青、三井住友海上グループホールディングスは緑となっています。

 

 

三井住友海上グループホールディングスに関しては、三井住友関連企業の多く(三井住友トラストバンク・三井住友カードなど)が緑で統一されているのも関係しているかと思いますが、飲食業界と正反対の寒色を好んで使用しています。

これは、青には松屋の例でも表記したように「誠実さ」や「信頼感」をイメージさせる効果が、緑には「安心感」や「さわやかさ」などをイメージさせる効果があるためだと考えられます。

 

 

自分が好きなロゴを選ぶか事業ベースで選ぶか

ロゴを自分が好き嫌いで選ぶ方と、あくまで事業ベースで選ぶ方、どちらも考慮して選ぶ方がいらっしゃいますが、どれが正しいのでしょうか。僕は「好き嫌いを反映させた、事業ベースのロゴ」が1番正しいように思います。事業の看板に好き嫌いなんて、と思われる方がいらっしゃる方もいるかもしれませんが、やはり会社やお店には経営陣の性格や思想が色濃くでるものです。ですので、ある程度好き嫌いを反映させた方が、より馴染むものになると考えています。

 

ただ、中には100%好き嫌いでロゴを選ぶ方もいらっしゃいますが、周りから見ると滑稽なものが多いことが多いです。あくまで、事業の成功へ繋がるコンセプトワークに、好みを織り交ぜたものがベストだと個人的には考えています。

 

表現の方向性を統一させる

ロゴは、名刺やチラシなどの紙媒体、看板や外装・内装などの建造物、webや商品などの方向性に大きく関わってきます。ロゴカラーを赤にすると、最も多く使用される色は通常赤となり、反対色の青が使用されることはほとんどなくなります。つまり、ロゴという小さなものひとつが、全体へ関わってくるのです。

 

ロゴをはじめとするCI(コーポレート・アイデンティティ)・VI(ヴィジュアル・アイデンティティ)づくりを得意とする有名なデザイナーに佐藤可士和という人物がいます。この方はブランドイメージ作りの得意なデザイナーとして知られ、T-POINTやUNIQLOといった事例があります。しかしアンチも多く、個人的に特に好きというわけではありませんが、売り上げを向上させるブランディング力は数字で見れば評価されるべきクリエイターかと思います。これは「UNIQLOよりかっこいいロゴなんてたくさんあるよ!だからこのロゴはダメ!」と考える方がいるからかと思いますが、ロゴはかっこいいから優れているというワケではない良い例ではないでしょうか。

機能性や汎用性の面において、下記の2例は非常に優秀なロゴと言えると思います。

 

 

赤いロゴを創造してみてと言われて、日本人の多くはコカコーラ・マクドナルド・ユニクロなどが頭に浮かぶかと思います。青と黄色のロゴと言えば?であれば、最も多いのはT-POINTになるのではないでしょうか。これは、企業の規模ももちろん関係はしてきますが、ロゴだけでなく様々な制作物を通じて、統一されたイメージを守ってきたから広く定着したイメージです。おそらく、UNIQLOのロゴが全く別のものであったなら、ここまでの企業になっていなかったかもしれません。

 

UNIQLOのロゴ色が全く違ったらどうなるでしょうか?

 

 

まるで周りとの調和がとれておらず、アンバランスに見えますよね。

印象もまるで違います。

 

そして「T-POINT」と画像検索すると、ロゴの持つイメージの統一力は一目瞭然です。

 

 

 

このように、ロゴを一度決めてしまうと、企業のイメージカラーやフォント、シンプルなのか、シックなのか、大人向けなのか、子ども向けなのか、などが変わってしまいます。ですので、ロゴの妥協はすべての妥協へ繋がってしまうのです。

 

何故高い?ロゴの費用のワケ

ここまでで、ある程度ロゴの必要性や重要性を理解して頂けたかと思います。

では、ロゴは何故数万円から数十万、中には数千万円から数億円するものがあるのでしょうか?

 

 

googleのロゴなんてパソコンで打ち込んで色を変えれば出来る!?

カラフルなgoogleのロゴですが、ぱっと見るとただ文字を打ち込んで色を変えただけのように見えます。実はこのカラフルな配色というのは非常に難しいもので、ロゴとしては敬遠されがちな配色です。カラフルな色合いはほとんどの場合、子ども向けの商品やサービスにおいて使用されます。しかし、googleには楽しそうなイメージこそありますが、決して子どもっぽいわけではないですよね。このバランス感を探し出すのがデザイナーの仕事です。

 

ちなみに、元々は同じ雰囲気ですが、デザイナーではない開発者が作った糞ダサいロゴでした。同じコンセプト・手法でも、作る人が違うだけで全く違う良い例です。

 

このことがよく分かる記事が外部にありましたので、合わせてご覧ください。

http://gigazine.net/news/20150902-google-logo-evolving/

 

ちなみに、適当に文字を打ち込んでバラバラに色を変えるだけだとこんな感じになります。

 

小さな差かも知れませんが、その小さな差を細かく調整していくのがロゴデザインです。想像以上の時間と労力が必要となるのです。

 

 

 

 

まとめ!

さすがに、googleやUNIQLOほどのロゴを作れるデザイナーはそうそういませんが、多くのデザイナーが同じように、細かな調整やコンセプトワークを行い、ひとつのロゴという形にまとめています。ポスターやホームページと比べると小さくシンプルなものかもしれませんが、その制作時間はむしろロゴの方が多かったりします。

 

なかなか見つけられないかもしれませんが、自分に合った、見た目も良くて、コンセプトワークも優れているデザイナーを見つけてみてください。

そうすれば、事業は今よりも、予定よりもきっとうまくいきます。

 

会社名、商品、人物、価格まですべて変わらない取引先が2社。

違うのは片方はロゴがしっかりしていて、片方はロゴがダサい。

あなたはどちらに仕事を任せますか?

あなたはどちらの会社で働きたいですか?

顧客獲得においても、人材確保においても、様々な面でロゴは多いに役に立ちます。

monomodeリクルートサイト
AD JOURNAL