公開日:2015.10.21
更新日:
制作側も発注側も要チェック!WEBサイトの所有権は誰のもの?
この記事の目次(クリックで項目へジャンプします)
活字を見ていると眼球の裏が痛みだす、どうも吉舌です!普段やらない法律関係の書類を作っているとなおさら痛みがでてきます。さて、みなさんはお仕事でWEBサイトを作ったこと、もしくは誰かにお願いして作ってもらったことはありますか?その際に、実績として公開していいかどうかの話をしましたか?実績を公開するということは自分たちの技術力やデザイン力を公表する、非常に大事な行動となります。ですが、しっかりとした確認をしなければクライアントとの間で問題が生じてしまう、非常にデリケートな問題でもあります。
そこで、制作物の実績公開についてあらためて考えてみました。
WEBサイトは誰のもの?
他社から委託を受けて制作をする方はみなさん契約書を結んでいらっしゃいますよね?結んでない?それは自分にとっても相手にとっても良くないですね~。結んでるけど内容をちゃんと読んでない?読まないで判を押すなんて言語道断です!今からでも遅くないのでしっかり読んでください!
それではみなさん、他社と結んだ契約書を引っ張り出して確認してみましょう。
交わした契約書の条項に所有権に関しての記述はありますか?所有権および知的財産権の取扱いに関してしっかりと明記しているのであれば一安心です。契約書に書かれているとおり、どちらに権利があるのかがハッキリしています。
書かれていないとしたら…今すぐ話し合いの場を設けた方がいいですね。
基本的には制作物は制作者のものと考えていいと思いますが、制作物を納品した際、諸々の権利はどちらのものになるのでしょうか。制作物を納品しただけであって権利自体は制作者のものなのか、制作物を納品したのだから当然所有権も譲渡したとみなすのか。自らが一切の権利を放棄・不行使するつもりなのであればいいかもしれませんが、明文化しないことで余計な波風が立つ恐れもあります。
まずはしっかりと明文化しましょう。
WEBサイトは誰が作ったの?
そろそろ眼球の裏が痛くなってきましたか?私は片目を瞑りながらタイピングしていますよ。もう少しだけお付き合いお願いしますね。
さて、WEBサイトの所有権について確認し終えましたが、実績公開の際に重要な権利をまだ確認していません。それが著作者人格権です。聞いたことありますか?
著作者人格権とはいったい何なのか。
著作者人格権は「公表権」「氏名表示権」「同一性保持権」「名誉声望保持権」の4つの権利からなっており、所有権や知的財産権などと違い譲渡することができない権利です。著作者人格権は譲渡することができないので、どうしてもその権利を行使して欲しくないと考える人は、「著作者人格権を行使しないことに同意する」という条項を盛り込んであることがあります。つまりは「この制作物を作ってもらったけど、制作物の改変とか公表の仕方には文句言わないでね」ってことです。制作者としてはあまり好ましくはないですが、この「氏名表示権」を行使しないということは、制作物が公表される際に制作者の名前を表示されない可能性があるという事で、誰が作ったのかが分かりにくくなってしまいます。
WEBサイトについての情報は口外禁止?
委託契約書の他に秘密保持契約を結んでいる方は更に注意しなければなりません。秘密保持契約の中にこんな一文があった人は、最後までこの記事を読まないと大変なことになりますよ!
「秘密情報とは、技術上または営業上、その他業務上一切の情報をいう。」
これは「今回の仕事の中で知った情報などは全部秘密情報として扱うよ!」ということですね。「この制作物のここのデザインはクライアントの○○さんの考案だよ」とか、「○○さんからの仕事は制作料金が××円で安かったなー」とか、「○○さんとの仕事で使ってたあの技術、実はこうなっているんだよ」とか、色々なケースがあると思いますが、大体全部ひっくるめて秘密ってことですね。
実績を公開するにはどうすればいいの?
著作者人格権や秘密保持契約の話をしましたが、結局のところは実績として扱って問題がないかどうか確認を取ることが大事です。「著作者人格権の不行使=実績としての掲載不許可」ではありませんし、何も制限されていないから問答無用で実績として公開していいかと言われれば、モラル・マナーの面では疑問符がつきます。仕事をする上で大事なのは、1に確認2に確認、とにかく確認することです。ここまで読んで当たり前のことが書かれていてがっかりしましたか?当たり前のことを当たり前に行うことが重要なんですよ!
制作者側にとっては死活問題となり得る制作実績の公開。自分の権利を放棄することなく、そして他者の権利を侵害することなく、ちゃんとした形で公開していきましょう!